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荒井良

張り子(技法)について

張り子は中国より伝わった技法で「張り抜き」とも呼ばれている。この技法を用いた作品(おもに玩具、お面など)が最も盛んに作られていたのは江戸時代中期以降とされる。その方法は濡らした紙を型の表面に貼り付け、乾かした後、型から紙を抜き取り、彩色を施し仕上げるというものである。手順が簡単なうえに材料が安価であることから、昭和の中頃までは各地方で特色のある手作りのものが大量に作られていたが、プラスチックなどの新素材の登場や溶かした紙を用いた機械による大量生産技法の発達により、昔ながらの手仕事による張り子作品は急速に姿を消しつつある。しかし一方では、単純な技法だけに工夫次第でいろいろと表現の幅を広げる余地もあり、「紙」という身近な素材と相俟って、私にとっては必要不可欠な技法となっている。

1958年東京生まれ。

文化学院美術科、武蔵野美術学園で彫刻、彫塑を学ぶ。

紙を素材とする張り子技法による立体造形を制作。

シリーズ「化けものつづら」を中心とした作品群は、小説家・京極夏彦の文庫本カバーと扉を飾ること約50冊にのぼる。

他にシリーズ「MELTDOWN」・「EDIBLE」がある。

東京、神戸、ロンドンで個展・グループ展多数。